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ヤンの銀英伝(9:要塞対要塞)

9.ヤン・ウェンリーの足跡(ヤンのささやかな抵抗)



<第31話:査問会>

★ヤンは、ハイネセンに向かう巡航艦の中で、歴史学者として手記をまとめていた。ヤンは、ハイネセンのテレビを見てフェーザンの陰謀の可能性を模索した。

★首都ハイネセンに着くと、ヤンは、フレデリカ達から引き離され軟禁された。いかにも査問会とは恣意なもののような気がする。

★直ぐに、査問会が開始され、ヤンは嫌がらせを受けた。士官学校の成績の話をされて、自分がもし、成績不良で卒業できなかった時の歴史に思い巡らした。自分が居なければ歴史が大きく変わっていただろうと・・・。イゼルローン要塞はいまだ同盟に落ちずにいたかもしれない。そして、帝国領大侵攻の愚行も犯さずに済んでいたかも知れない。軍人になりたくて成ったわけではない。全く自己矛盾した人生を歩んでいる。

★ヤンは、国防委員長の糾弾に対して、ことごとく論理的に反論した。一方、フレデリカは、ビュコックに接触してヤンを救出する策を講じようとしていたが、憂国騎士団に襲われた。ビュコックは、査問会の件を聞き、自分の無力さを嘆いたが協力を約束した。もはや同盟は、建国の父アーレハイネセンの理想などとっくに忘れ去られた国家に成りさがっていた。皮肉なことにヤンが一生懸命、守ろうとした民主共和制の精神はもはや失われかけていた。


★ヤンはこの無毛な論争に嫌気がさし、軍を辞めることを心に決めた。そもそも、ヤンがクーデターを制圧したからこそ、この査問委員会の面々が安閑としてヤンを呼び出すことができたのである。もし、ヤンがその気にならば、同盟政府など簡単に自分の手に入れることができるのであるが...。


★一方、イゼルローン周辺には、突如、帝国軍のガイエスブルグ要塞がワープアウトしてきた。


<第32話:武器なき戦い>

★ヤン不在のイゼルローン要塞では、対策に苦慮していた。ヤンが戻るまで、最低4週間はかかるので事態は深刻であった。

★ヤンは、査問会で相変わらず嫌がらせを受けていた。用意した辞表はまだ提出していなかった。ヤンは、この査問会がいかなる結論を下すのか、いささか意地の悪い興味を持っていた。ヤンの存在が、彼らにとって有害であったとしても、帝国軍との戦いのなかで、ヤンの力が必要な以上ヤンを排除することはできない。どうせ、解放しなければなならいとしたら、どのように体裁を整えようとするのかを見届けようとしていた。辞表を出すとしても、なるべく劇的な場面でだしてやろうと余裕も出てきていた。

★フレデリカは、自由惑星同盟政府の堕落振りに驚いた。

★ヤンが辞表を提出する直前、査問会の席上、イゼルローンの異変が報告された。ヤンやフレデリカにとっては、この場合非常に良い知らせであった。


★査問会は、ヤンの解放を決定した。そして、ヤンにイゼルローンの防衛と反撃を命令した。ヤンは、 帝国軍が侵攻してくる時期を選んで、自分をイゼルローンから呼んだ理由 を問いつめた。ヤンは解放されて、フレデリカとビュコックと会い食事した。帰り道、国防委員長は、ヤンに査問会のことを口外しないでくれと土下座して願い出た。(元)国防委員長は、この時すでにトリューニヒトにより更迭されていた。

●ヤンが査問会であらぬ疑惑に対して明確に反論していくところが好きである。それにしても、同盟の人材のなさ振りには落胆させられる。後にハイネセンが帝国軍に占領されたとき、中間の官吏などに優秀で立派な人々が居たことが語られる。同盟においては良い人材が抜擢されて登用されることが少なかった。ここに、帝国と同盟の人材基盤の違いがあり、同盟が弱体した理由のひとつになっている。


<第33話:要塞対要塞>

★イゼルローン要塞の外壁に、ガイエスブルクの主砲が炸裂した。ヤンの留守を預かる司令官代理のキャゼルヌは動揺する。シェーンコップの助言により、トウールハンマーの反撃に出て主砲対主砲の戦いは膠着した。

★国防委員会は、ヤンが救援に向かう部隊に、主力の第1艦隊を与えずに、各星域の警備隊や治安部隊の寄せ集め艦隊を指示した。なんとも、勝手な話しである。自分たちの手元に最新鋭部隊を温存しておきたかったのである。
★イゼルローン要塞は、帝国軍の白兵戦の攻撃を受けたが、シェーンコップのローゼンリッタにより撃退した。なかには、敵軍の捕虜になるものもでて、ヤンがイゼルローン要塞にいないという情報も漏れた。


<第34話:帰還>

★主砲同士の要塞対要塞の攻撃が始まった。ガイエスブルクの引力を利用した攻撃によりイゼルローンは危機に陥った。ユリアンはスパルタニアンで出撃し活躍した。メルカッツはヤン艦隊の指揮権を譲り受けミュラー艦隊を迎撃した。メルカッツは老練な手腕により敵を撃退した。

★ヤンが要塞にいないと見破ったミュラーは、ヤンを迎え撃つために艦隊を回廊に分散配置したが、ケンプの反対により、もとの配置に戻らされた。ラインハルトは、ロイエンタール、ミッターマイヤに増援の指示を与えた。

★ヤンの援軍艦隊は、イゼルローン要塞の近くに到着し、敵の哨戒部隊に発見された。いや、ヤンは敵に発見させたのである。


★帝国軍は、ヤンの援軍到着を利用して策略を図ったが、ヤンの弟子のユリアンに見抜かれていた。この状況を利用してメルカッツは、ヤンの援軍艦隊と連携してケンプ艦隊の後方を突いた。ケンプ艦隊は、ガイエスブルグに撤退し、要塞を武器としてイゼルローン要塞に体当たりしようとした。しかし、もはやヤンが帰還した後だったので遅すぎた。

★ヤンは、ガイエスブルグ要塞の航法装置を集中攻撃で破壊し制御不能にした。帝国軍は総崩れとなりケンプは戦死し、ミュラーは撤退した。ヤンは敗走する敵を追った同盟軍を救援するために、急ぎ出撃した。ヤンにとっては無用な出撃になった。


●イゼルローン要塞にヤンがいなかった時が、同盟にとって最大の危機であり、帝国の好機であった。その当時、ケンプは指揮官としての精彩を欠いていたために帝国軍は攻めきれなかった。いや、魔術師ヤンの存在が攻撃を躊躇させたのかもしれない。ヤンは居たら居たで、居なければ居ないで敵を惑わす存在と成っていた。