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ウラリスさんの伝言板物語

第1部 〜アムリッツァ、再び〜


●銀英伝チャット(通称:銀チャ)がいつのまにか銀英伝Another Storyを語りだしたのを銀英伝伝言板とリンクして、壮大にして華麗な史実をまとめたのがこの物語です。
●チャットでの対戦というかってない戦いが繰り広げられています。(笑)


<第1話>

やってみようかな〜と思います。あくまで予告で,確定ではありませんが。
(とか言いながらすぐ下で始まってる・・・) あ,でもアムリッツァはチャットでやってるからなあ...まいっか。

---------- ヤンがイゼルローンからハイネセンの官舎に帰ってきて数時間後・・・

キャゼルヌ「おいヤン,急いで統合作戦本部に来てくれ」
ヤン「何ですか,キャゼルヌ先輩。やっと帰ってきたばっかだというのに」
キャゼルヌ「それがだ。何かまたでかい遠征があるらしくてな,これから作戦会議だそうだ」
ヤン「はあ? イゼルローンを取ったばかりだというのにですか?」
キャゼルヌ「そうらしい。本部の連中は何を考えているのやら,俺にはわからんがな。
      まあ,とにかく来てくれ。シトレ元帥のお呼びだからな」
ヤン「はあ・・・まあ行きますけど・・・」
ユリアン「どこかに行くんですか,提督?」
ヤン「ああ,ユリアン,今夜は遅くなりそうだ。先に寝ていなさい」

ヤンが統合作戦本部に着いたときには,ほかの艦隊提督はすでに会議室の席に着いていた。
ビュコック提督は宇宙艦隊の幕僚総監の地位である。
制式艦隊は15個艦隊(注:アスターテによる3個艦隊壊滅はない)。
第5艦隊(旧ビュコック艦隊)が現在再編中により欠番である。

シトレ「さて,これより作戦本部で提案された銀河帝国への侵攻計画を話し合う・・・・」
統合作戦本部長・シトレ元帥のこの言葉で,出席している提督は等しく驚いた。
ヤン「まだ時期尚早ではないのですか。まさかこの時期に帝国侵攻など・・・」
シトレ「いや,現在帝国は皇帝が決まってはいるもののまだその地盤は固まっていない。
    今の時期を逃せば,ローエングラム体制は盤石のものとなり,
    皇帝ローエングラム公との戦いは不利のうちに推移するであろう。
    従って,今のうちに帝国領に侵攻し,敵の力を削いでおくべきなのだ」
ヤン「その話は分かりました。しかし,我々はイゼルローンをすでに確保しています。
   それをもとに和平への道はなかったのですか。十分に有利な形で講和できると思いましたが」
ロボス「いや,それはないだろう。ローエングラム公のことだ。一時期は和平を結んでも,
    異なる政治体制は認めまい。いずれ我が同盟領に攻め込んでくるだろう。
    ならば今のうちに帝国領に侵攻することが無意味だとは思えんのだが」
ヤン「・・・・」

(中略・・・フォークは登場しない)

結局,イゼルローンを橋頭堡,そして司令部とした形での帝国領侵攻は決定された。
総司令官にロボス元帥,総参謀長ビュコック元帥。作戦主任参謀にグリーンヒル大将,
後方主任参謀はキャゼルヌ中将。先陣に第13ヤン艦隊,第16リョクラン艦隊の精鋭2艦隊を配し,
後続として各艦隊が続くという形である。15個艦隊のうち,過半数の8個艦隊以上の参加となった・・・。

そのころ,オーディン・・・

ラインハルト「キルヒアイス,叛乱軍の様子はどうなのだ」
キルヒアイス「はい。どうやらミッターマイヤー,ロイエンタールの両提督がうまくやってくれたようで・・・」
ラインハルト「つまり,ブラウンシュヴァイクとリッテンハイムを同士討ちさせることに成功した,ということだな」
キルヒアイス「はい」
ラインハルト「よし,私もガルミッシュへ行く。キルヒアイス,ガイエスブルグの残敵掃討は任せる」
キルヒアイス「はっ」
ラインハルト「・・・キルヒアイス」
キルヒアイス「ラインハルト様・・・」
ラインハルト「まだ私は銀河系の半分しか手に入れてない。残り半分はまだ叛乱軍の手中にある・・・」
キルヒアイス「・・・・・・」
ラインハルト「あの魔術師がいなければ,私はもう銀河系をすべて手に入れていたのではないのか?」
キルヒアイス「・・・ラインハルト様,まだその機会ではありません。その機会をどうかお待ち下さいますよう・・・」
ラインハルト「・・・・・・」
キルヒアイス「ここはぜひ,ブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム公を討つのに全力を挙げて下さいませ」
ラインハルト「・・・分かった,キルヒアイス」

その数日後,二人はそれぞれの旗艦に乗り込み,オーディンを後にする・・・。


---------- バルバロッサさまの2番煎じかもしれませんが・・・
拙筆ご容赦。あと,勝手にみなさんを登場させることがあるやもしれませんが,そのときは暖かく見守ってあげて下さいませ
(リョクランさま,無許可で勝手に第1話より登場させてしまいました。すいません」

●賊軍を叛乱軍に訂正させていただきました。


<第2話>

ヤン「まったく,1日ぐらいゆっくりさせてくれないものかな」
作戦の決定後,すぐに第13艦隊の再編作業が(といっても兵員の補充ぐらいだが)
始まっていたので,ハイネセンに帰ってきてからの方が忙しいくらいになっていた。
・・・といっても,実際に動いているのはほとんどフレデリカとキャゼルヌであるが(笑)。
先陣の出発が2週間後と定められ,いよいよ忙しくなってくる。
そんなある日・・・

トリューニヒト「我々は,これまで長い戦争を続けてきた悪しき銀河帝国と
        決着をつけるために,数日後,我が同盟軍の全艦隊を挙げて出撃する。

        ・・・・・・(中略)・・・・・・」 (注:いまだにトリューニヒトが同盟議長である)

ヤン「また始まった・・・あれを聞くと心にじんましんができる」
ユリアン(軍属)「残念ですね。体にじんましんができれば休暇が取れるのに」
ヤン「まったくだ」
トリューニヒト「同盟の市民諸君,

        ・・・・・・(中略)・・・・・・
       
         ぜひ帝国を打倒するために協力してほしい」

ヤン「・・・あの中身のない演説は,聞くだけでうんざりだ。
   あのトリューニヒトのために戦わなきゃならないというのか・・・
   (いっそのこと,クーデターでトリューニヒトが失脚してくれないかな)」
その後,ヤンはリョクラン艦隊とともに,ハイネセンを後にする。
旗艦ヒューベリオンには,今回キャゼルヌもイゼルローンまで同乗していた。

そのころ,帝国ガルミッシュ要塞宙域。

リッテンハイム「おのれ,裏切ったかブラウンシュヴァイク!」
ブラウンシュヴァイク「盟主にたてつくとはいい度胸だ。そのまま撃ち落としてくれるわ」
リップシュタット盟約(反ローエングラム体制)は破れ,両軍の間に 戦火が交わされるようになった。
その立役者はというと・・・

ロイエンタール「どうやら,うまくいったようだ」
ミッターマイヤー「貴族の馬鹿息子ども,自分の進んでいる方向もわからんとはな」
ロイエンタール「まったくだ。こいつらには同士討ちぐらいがちょうどいいのさ」
ミッターマイヤー「ああ。ところで陛下は?」
ロイエンタール「まもなく到着される頃だが・・・」
ミッターマイヤー「そうか。よし。
         ミッターマイヤー艦隊とロイエンタール艦隊の全艦に告げる。
         皇帝ラインハルト陛下がこちらに到着され次第,全戦力をもって
         賊軍の掃討に移る。抵抗する艦は1艦たりとも逃すな!」
ラインハルトは同盟軍侵攻をまだ知らない。
ヤンは帝国軍がすでにオーディンをでていることを知らない。
どちらにも予想外の状況が現れることは,間違いない・・・・。
新しき銀河の歴史が,今刻まれようとしている・・・。


<第3話>

ラインハルト「ロイエンタール! ミッターマイヤー!」
ロイ&ミッちゃん「はっ」
ラインハルト「まずはブラウンシュヴァイク艦隊を殲滅する!
        ロイエンタールは左翼から,ミッターマイヤーは右翼から包囲せよ!」
ロイ&ミッちゃん「はっ!」 ブラウンシュヴァイク艦隊旗艦(名前知りません)・・・
オペレーター「後背に敵艦隊! 艦艇数約8万!」
ブラウンシュヴァイク「8万だと!? どこからそんな数がでてきた!」
オペレーター「あれは・・・ラインハルト皇帝の艦隊です!」
ブラウンシュヴァイク「金髪の孺子か!」
オペレーター「4時方向に敵!」
ミッターマイヤー「ファイエル!」

さすがに疾風ウォルフ。艦隊の展開は誰よりも早い。
そして第1射のあと,敵編隊内に突入!すでに混乱の極みのブラウンシュヴァイク艦隊。
惰性で左翼方向に膨らむが・・・

ロイエンタール「1艦たりとも逃すな! ファイエル!」
すでにロイエンタール艦隊の配置は完了していた。崩れるブラウンシュヴァイク艦隊。
逃走を図る艦は後方に逃げようとするが・・・

ラインハルト「かかれ! ブラウンシュヴァイクの首を取ったら,1兵卒でも提督に昇進させてやるぞ!」

皇帝の命令で全艦が奮い立った。一斉に包囲網を縮める。
リッテンハイム艦隊は・・・逃げてくるブラウンシュヴァイク艦隊を餌にしている。
しかしなんとかメルカッツ分艦隊,ファーレンハイト分艦隊は脱出を果たした。
その他はほぼ半数が降伏,残り半数は撃沈。
そして残りわずか・・・しかし攻撃の手は緩めない。
ブリュンヒルトにブラウンシュヴァイクの旗艦が発見された!

ラインハルト「ファイエル!」
ブラウンシュヴァイク「金髪の孺子め! ファイエル!」

・・・そして,ブラウンシュヴァイクは爆発の中に消えた・・・。
そして次はリッテンハイム艦隊。

ラインハルト艦隊8万隻が力で押して行く。
ガルミッシュに逃げ込んでいくリッテンハイム艦隊。
ラインハルト「よくやった」
ロイ&ミッちゃん「はっ」
オペレーター「陛下,キルヒアイス提督から入電です! 
         ガイエスブルグは無事制圧したとのことであります」
ラインハルト「そうか・・・よし,近日中にガルミッシュを落とし,オーディンに凱旋する」


<第4話>

そのころ,ヒューベリオン艦内・・・
ヤン「・・・トリューニヒトは何を考えているのだ?」
ユリアン「どうしたんですか,急に?」
ヤン「・・・この時期に帝国と事を構える理由さ。そもそもこの作戦はトリューニヒトが直接持ち込んだものらしい。
   それに軍上層部が押し切られたという話だ。だいたいトリューニヒトは自分のことしか考えてないからな。
   自分が選挙で当選すればそれでいいとしか・・・」
ユリアン「・・・それですよ,提督。次の選挙があと数カ月後にあったと思いますが」
ヤン「・・・そうか。読めたぞ,トリューニヒトの考えが」
ユリアン「えっ? どういうことですか?」
ヤン「簡単なことさ。我々が勝って帰ってくれば,それだけで祝勝ムード,トリューニヒトにとっては
   絶好の自画自賛の場がやってくる。もし負けて帰ってきたとしても,その慰霊会と称して,やつの言う
   愛国心とやらを宣伝する絶好の場が与えられる。どっちに転んでも,トリューニヒトにはいい結果が
   待っている,というわけさ。」
ユリアン「でも,今の状態なら,別にそんなことをしなくても結果的にトリューニヒト議長が再選されると思いますが」
ヤン「ところがだ。トリューニヒトは初めからスキャンダルをいくつも抱えている。賄賂に,女性スキャンダルに,
   数え上げればきりがないはずだ。それが1回公表されれば,反トリューニヒト派が簡単に増える。
   その隙を作らないためにも,対外的に何か大きな出来事があってほしいのさ,やつは」
ユリアン「・・・じゃあ,選挙までにこの戦争が終わらなければ・・・」
ヤン「そしてマスコミがスキャンダルをつかんでくれれば,だな。それと対立候補の問題だ・・・。」
ユリアン「・・・多分誰かいますよ。ジョアン・レベロさんとか,ホワン・ルイさんとか・・・」
ヤン「・・・どっちも人気の面でやや欠けるな・・・」
シェーンコップ「人気なら,ここに適任者がいるじゃありませんか。実力はどうあれね」
ヤン「シェーンコップ中将,私は・・・」
シェーンコップ「いっそのことトリューニヒトには失脚してもらいましょう。そして,この戦争を終わらせて
        ハイネセンに戻れば,それだけで閣下が最高評議会の議長ですよ」
ヤン「最高評議会ヤン・ウェンリー議長か。どう見ても柄じゃないね」
シェーンコップ「もともと軍人って柄でもないでしょう,閣下。それでもこの上なく演じている。
        政治家だって多分大丈夫でしょう。まあ,少なくともトリューニヒトよりはまともですね」
ヤン「・・・・・・」

ヒューベリオンでこんな雑談が交わされていた頃,本国ハイネセンでは総参謀長のビュコック元帥がなんと辞職,退役した。
「トリューニヒトの欲望だけのために立てられた作戦なんぞ,つきあう義理もない」
とのことである。
ビュコックもこの作戦の内情を看破していたのだ。
後任の総参謀長にはグリーンヒル大将が昇格,作戦主任参謀にはコーネフ中将が着任した。
この知らせをヒューベリオンで受けたヤンは,
「いっそのこと,ビュコック元帥が議長になってくれないかな・・・そうすれば,少しは同盟もまともになる。
 ついでにビュコック元帥のことだ,いっそのこと,この戦争もやめさせてくれないかな・・・
 そうすれば,私も楽ができるのに・・・」
とつぶやいたという。

---------- イゼルローンでは(ポプラン筆頭のお祭り組がいないけれど)ニュー・イヤー・パーティーが開かれるんでしょうね・・・・・・。


<第5話>
ラインハルト,キルヒアイス両艦隊の勝利が報じられていた頃,オーディンではこんな噂が流れていた。
「皇帝陛下の姉上様が,人目をはばかりバイトをしているらしい」
「町中でグリューネワルト大公妃殿下をみた。○○の店に入って行くところだった」
そのことはオーベルシュタインによって,ブリュンヒルトのラインハルトへも伝えられた。
これを聞いたラインハルトは
「しょせん噂だろう。ほおっておくがいい」
とは言ったものの,さすがに動揺は隠しきれなかった。

自室に帰ったラインハルトが
「姉上が町中にでている・・・本当なのか?・・・キルヒアイスには伝えないでおこう」
と思ったかどうかは定かではないが,ラインハルトの口からはキルヒアイスにこのことは知らされなかった。
ところがオーベルシュタインのことである。
何をやってもおかしくない。
キルヒアイスにも報告したという可能性は拭いきれない・・・。
この時期のアンネローゼに関する噂の真偽については,今もって不明である・・・。

そのころ,ヤンの同盟第13艦隊,リョクラン元帥率いる第16艦隊がイゼルローンに到着。
2陣の第10・ウランフ艦隊と合流して,第13艦隊はアムリッツァ方面, 第16艦隊・第10艦隊はハーン方面へと出撃していった。
ヤン「キャゼルヌ先輩,あとのことは頼みます」
キャゼルヌ「どうせお前さんのことだ,心配なんかしてないんだろう?」
ヤン「まあね。でも万が一ですよ,万が一」
キャゼルヌ「万が一ねえ・・・そんな心配はいいから,さっさと戻って来いよ,ヤン」
ヤン「さっさとって・・・とにかく,後は頼みます。帝国軍はどこからでてくるか分かりませんから」
キャゼルヌ「・・・分かったから,イゼルローンは心配するな」
ところが,ヤンも他の提督も,そうそうに帝国軍と接触することは予想していなかったのである・・・。


<第6話>

さて,ガルミッシュ要塞宙域では・・・
ミッターマイヤー艦隊とロイエンタール艦隊の一部が入れ替わり立ち替わりにガルミッシュ要塞の
周囲を行軍,たまらずに貴族軍の一部が飛び出してくるという一幕があった。
リッテンハイム公のもとにはすでに有能な指揮官は残っていない。
指揮能力の欠如を確実に示している。

それをみたラインハルトは・・・
ラインハルト「ミッターマイヤー」
ミッターマイヤー「はっ」
ラインハルト「卿の戦力によって,賊軍をガルミッシュからおびき出せ」
気のはやっている貴族のこと,必ず出てくると踏んでのラインハルトの作戦である。
具体的な指示はこの際ミッターマイヤーには不要である。
というのも,一度ガイエスブルグで同じことをやっているからである。
それによってブラウンシュヴァイクの艦隊はおびき出され,その艦隊を引き連れて,
ミッターマイヤーはガルミッシュ宙域のリッテンハイム艦隊の前に姿を現したのである。

ミッターマイヤー「はっ」
ラインハルト「ロイエンタール,ミュラー」
ロイ&ミュラー「はっ」
ラインハルト「卿らはミッターマイヤー艦隊によっておびき出される賊軍を,
       右翼で待機し攻撃せよ。予は左翼に待機し同時に攻撃する」
ロイ&ミュラー「はっ」
ラインハルト「リッテンハイム公を確実に討つことにこの意義がある。
       予を含めた4個艦隊によって賊軍を包囲,殲滅する!」
「はっ!」 従卒に命じてワインを配らせ,ラインハルトは言う。
ラインハルト「卿らの上に大神オーディンの恩寵のあらんことを! プロージット!」
「プロージット!」
それぞれがワインを飲み干し,慣例に従ってワイングラスを床にたたきつける。
ガシャーン・・・・
そして,それぞれの提督がそれぞれの旗艦へと向かっていった・・・。


<第7話>

ミッターマイヤー艦隊の一部が前と同じように行軍を開始する。
すると気のはやった貴族軍がでてくる。ところが今回は異変がある。
一撃に勝負をかけるか,なんとリッテンハイムの旗艦,オストマルクまでもがでてきたのだ。
リッテンハイム自身もかなりおかしくなっているとみてよい。

ミッターマイヤー艦隊が予定の宙域にでてきたところで,ラインハルトの指示が飛ぶ。
「一気に包囲にかかれ!」
ミッターマイヤー艦隊1万6000を相手にしていたリッテンハイム艦隊は,
たちまち双方をロイエンタール・ミュラー艦隊3万1000,ラインハルト直属艦隊2万5000に囲まれ,
あっと言う間に完全包囲されてしまった。

こうなるともう勝ち目はない。しかしリッテンハイムは分からないのか,徹底抗戦を叫ぶ。
幕僚「もう,おやめ下さい」
リッテンハイム「何を言っているのだ,すぐそこに金髪の孺子の旗艦があるではないか。
         あれさえ撃ち落とせば我々の勝ちではないか」
幕僚「その前にある幾重もの戦列をどう突破します? その前に確実に撃破されるのがオチですよ」
リッテンハイム「全艦を金髪の孺子の艦隊に振り向けろ。他は放っておいても,金髪の孺子だけ倒すのだ」
幕僚「無駄です。我が艦隊はもうほとんど残っておりません。おとなしく降伏し,
   ラインハルト陛下の処断を待ちましょう」
リッテンハイム「金髪の孺子に降伏だと? リッテンハイム家の当主たる私が,
        皇帝といえどたかが下級貴族出身の孺子に頭を下げろと言うのか?」
幕僚「はい。それ以外に生き残る道はございません」
リッテンハイム「そんなこと,私にできるか! 全軍突撃!」
そして・・・オペレーター「戦艦オストマルクです!」
ラインハルト「ファイエル!」
リッテンハイム「金髪の孺子め! ファイエル!」

・・・奇しくも最後に叫ぶ言葉は,ブラウンシュヴァイクと同じであった。
リッテンハイム公,ガルミッシュ宙域に散る・・・。

そのころ,アムリッツァ近辺にいたヤン艦隊・・・
アッテンボロー「そろそろ小惑星帯です。この辺ですかね?」
ヤン「うん,上々だ。私もそのへんに潜むことにする。敵艦隊がでてきたら,例の作戦に従って動いてくれ」
アッテンボロー「了解です」

ビッテンフェルト艦隊はそのころ・・・ボーデン星域にいた。
ビッテンフェルト「なんで陛下は俺をここに回したんだ? ひょっとして・・・このあとイゼルローン攻略があるか?
         しかし,相手はヤン・ウェンリーだ・・・・・・まあいい,ヤンだろうが何だろうが,打ち倒すまでよ!」
ビッテンフェルトの直感。「イゼルローン攻略戦」。
そのためには,アムリッツァに待機し,ラインハルトの司令があり次第,その場でヤンのいるイゼルローンに向かうことが必要となる。
そう考えたビッテンフェルトは,アムリッツァ星域に向かった・・・。


<第8話>

ビッテンフェルト率いる「黒色槍騎兵」艦隊は,アムリッツァ星域に向けて航行中であった。
ビッテンフェルトの性格のまま(笑),前方に位置するアムリッツァ星域に全神経を集中している。
アムリッツァ星域には,同盟軍の駐留基地があり,1個艦隊が駐留しているという情報を得ていた。
並の1個艦隊ならば,黒色槍騎兵には到底かなうまい・・・

一方,アッテンボロー分艦隊は小惑星帯の中・・・
オペレーター「左舷,10時方向から敵艦隊接近!」
アッテンボロー「予想進路は?」
オペレーター「アムリッツァ本星方面へと進んでいきます!」
アッテンボロー「射程距離までどのくらいだ?」
オペレーター「現在の速度で10分です」
アッテンボロー「我々には気づいているかな?」
オペレーター「それは・・・・・・分かりかねます」
アッテンボロー「・・・まあいい。ヒューベリオンと回線を開いてくれ」
アッテンボロー「こちらトリグラフ,敵艦隊を発見。ただいまより作戦を実行します」
ヤン「了解。期待しているよ」
オペレーター「敵艦隊が射程圏内に入りました」
アッテンボロー「まだだ。あと10分待て」
オペレーター「そ,それでは・・・敵艦隊が射程圏から抜けてしまうではないですか!」
アッテンボロー「ちょうどぎりぎりだ」

10分後・・・
アッテンボロー「全艦最大戦速! 敵主力の背後につけ!」
オペレーター「後方に敵艦隊!」
ビッテンフェルト「なんだと! 偵察艇は何をしていた!」

ケーニヒス・テイーゲル艦内,そして黒色槍騎兵全艦隊にビッテンフェルトの怒りがとどろく。
アッテンボロー「総攻撃開始! 全艦主砲3連射!」
ビッテンフェルト「全艦最大戦速! そのままアムリッツァ本星方面へ進め!」
幕僚「どうなさるおつもりで?」
ビッテンフェルト「あの太陽を利用する!」
オペレーター「敵艦隊はそのままアムリッツァ本星へ進んでいきます!」
アッテンボロー「それまでに主力を叩く! 敵に時間を与えるな! 砲撃を密にしろ!」
オペレーター「だめです! 後方から艦列が崩れていきます!」
ビッテンフェルト「急げ! 太陽までたどり着けば何とかなる!」

しかし,いくら黒色槍騎兵といえど,後方からの攻撃には耐えられるものではない。
それに,相手は7000といっても,機動力の高い巡航艦を主に編成してある。
最大戦速同士ならアッテンボロー分艦隊に分がある。
そしてヤン艦隊特有の集中攻撃である。
さすがのビッテンフェルトもこの段階での敗北を悟った。

アムリッツァ本星近辺にたどりつく頃・・・

幕僚「これ以上は無理です! 我が艦隊は42%が完全破壊,残りのうち半数以上が戦闘不能です!」
ビッテンフェルト「くそっ,こんなことをやれるのは,奴しかいない・・・」
幕僚「ヤン・ウェンリーですか・・・」
ビッテンフェルト「ああ,奴自身はでてこなかったらしいが,奴の智恵だろうよ,こんなことができるのは!」
幕僚「・・・それより,これからどうなさいますか?」
ビッテンフェルト「全艦撤退だ! フレイヤ星系に向かい,陛下の艦隊と合流する!」
アッテンボロー「作戦は成功しました。これより本宙域を離脱,第2ポイントに潜みます」
ヤン「ご苦労様。しばらくしたらまた敵が来るだろう,気を抜かないように」
アッテンボロー「先輩も今度は実戦にでて下さいよ,後ろでのんびりしてないで」
ヤン「のんびりしていたつもりはないんだがなあ・・・」
その実,アッテンボローからの通信を受けたヤンは,第2波1万6000の出撃のタイミングを探っていたのである。
ところがアッテンボロー,あまりにもうまく敵後方についてしまったために,ヤンの出番はなし。
結果としてアッテンボローに嫌味をいわれることになってしまったのである。

結果論になるが,この戦いが,後世に伝わる「両回廊戦役」の幕開けとなる戦いだったのである。
同盟,帝国ともに,史上最大の補給線,通信網を確保しながらの戦い。
両陣営のありったけの戦力が,今,一堂に会する・・・・・・

                                        第1部「アムリッツァ,再び」 Fin.


(第2部に続く....)